3-2.月が綺麗ですね:こぼれ話

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(やだっ、どうしよう!)  台所を通るとき、くるみは団子をこねるときに使ったボールや、茹でるときに使った鍋などが汚れたまま流しに置きっぱなしになっていることに気が付いた。  幸い実篤(さねあつ)はまだ気付いていないみたいだけど、きっと見られてしまうのも時間の問題だ。 (辛気臭いのは嫌かなぁ思うて仏間を避けるルートを選んでしもうたけど……)  こんなことなら仏間を通過する順路にすれば良かったと思ってしまったくるみだ。  でも、自分自身両親の写真を見るとまだウルッと来てしまう。  ましてや自分にとてもよくしてくれる実篤(さねあつ)の前。  つい気が緩んで泣いてしまわないという保証はなかったから。  だから台所ルートが正解だと思ったのだけど。 (もぉ、うちのバカっ。何で先にお団子の飾り付けしちゃったの!)  存外うまくピラミッド状に団子を積み上げるのに手間取ってしまった。  お陰で実篤(さねあつ)が訪れるまでに洗い物まで手が回らなかったのだ。    団子を夢中になって並べている間に洗い物のことをすっかり失念してしまったのも敗因だ。  こんなことなら盛り付けは実篤(さねあつ)と一緒にワイワイ言いながらした方が良かったかもしれない。――が、今更思ったところで後の祭り。 (実篤(さねあつ)さんに片付けが出来ん子じゃって思われるんは嫌……!)  何となく実篤(さねあつ)にはそういうダメな部分を見せたくないと思ってしまった。
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