3-2.月が綺麗ですね:こぼれ話

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***  ギュッと実篤(さねあつ)から指を絡められた瞬間、心臓が大きくトクン!と跳ね上がって、くるみは(何これ、何これ。こんなん家族には感じんよ?)と内心物凄いパニックに(おちい)ったのだ。  実篤(さねあつ)はくるみの手を握ったまま全然目を閉じてくれないし……真っ赤になっているのを見られてしまう!と思ったくるみは、柄にもなく焦ってしまった。 「目っ!」  と指摘して、何とか実篤(さねあつ)に目を閉じてもらったのだけど――。  今度は実篤(さねあつ)の閉じられたまぶたの、まつ毛が思いのほか長いことに気付かされてドキドキしてしまう。 (実篤(さねあつ)さん、かっこいい……)  思わずそう思ってしまって、実篤(さねあつ)のことをお兄ちゃんだと思って接していた時には決して芽生えなかったその感情に、くるみ自身驚いた。  自分の感情を確かめたくて、実篤(さねあつ)が目を閉じているのを良いことに背伸びして間近でじっと実篤(さねあつ)の顔を見ていたら――。
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