4-1.ハッピーハロウィン!―前編―

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「残念じゃったねぇ、宇佐川(うさがわ)くん。それでも(ほいじゃけど)あの子ンことは社長が最初っから凄い(ぶち)贔屓(ひいき)にしちょったんバレバレじゃったんじゃけ、横恋慕(よこれんぼ)する気なんじゃったら急がんといけんかったのは分かっとったじゃろーに。長い事モタモタ(えっとモタクサ)しよるけん遅れを取るんよ」  野田の辛辣(しんらつ)な言葉に、宇佐川がシュンとする。 「そりゃあそうなんですけどぉ〜。年齢的に考えても絶対自分に軍配(ぐんばい)が上がるはずじゃし、焦らんでも大丈夫かな?とたかをくくっちょったんです」  と溜め息を落とす。 「ちょっ、宇佐川、お(まっ)、そんなこと思うちょったんか」  思いもよらぬところに伏兵(ライバル)がひそんでいたことに今更のように驚かされた実篤(さねあつ)だ。  宇佐川には悪いが、彼がリアクションを起こす前にくるみに告白できて良かった!と心底思ってしまった。 (いや、けどあの場合はくるみちゃんが動いてくれたけん言えたんか)  およそひと月ばかり前の――。十五夜の晩のアレコレを思い出してみると、割と情けなくもあり。  でもそう考えてみたら、(宇佐川が先に動いたけぇ(ちゅ)うて、くるみちゃんは俺にしかなびかんかったんじゃないん?)とも自惚(うぬぼ)れたくなった実篤(さねあつ)だ。
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