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「だって考えてみたらさ、俺が中学に入学した時、くるみちゃんはまだ幼稚園児だったわけじゃろ?」
そう考えると、何だか犯罪に近いものを感じてしまう実篤だ。
(こんな俺がくるみちゃんみたいに可愛らしい女の子を独り占めしてもええんじゃろうか)
情けないとは思うけれど、そんな漠然とした不安が、常に実篤の頭の片隅を占拠している。
『うちが実篤さんがええって言いよーるのに、何でそんな卑屈な言い方するん? いくら実篤さん本人でもうちが好きな人のこと〝俺なんか〟っ言うて卑下するんは聞き捨てならんのじゃけど』
電話の向こうから、ぷぅっと頬を膨らませた子リスみたいなくるみの姿が見えるようで、実篤は思わず笑ってしまった。
怒られていると言うのは分かっていても、(くるみちゃん、可愛いのぅ)と思わずにはいられない。
くるみと同い年の妹・鏡花がやっても太々しくしか見えないだろうに、惚れた弱みというやつは厄介だ。
『そんなん言いよってじゃけど、それならうちがその……宇佐川さんじゃったっけ? その彼と付き合うことにしました、っ言うたら実篤さん、大人しく引き下がるん?』
「バカ! ダメに決まっちょろーが!」
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