4-1.ハッピーハロウィン!―前編―

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「だって考えてみたらさ、俺が中学に入学した時、くるみちゃんはまだ幼稚園児だったわけじゃろ?」  そう考えると、何だか犯罪に近いものを感じてしまう実篤(さねあつ)だ。 (こんな俺がくるみちゃんみたいに可愛らしい女の子を独り占めしてもええんじゃろうか)  情けないとは思うけれど、そんな漠然とした不安が、常に実篤(さねあつ)の頭の片隅を占拠している。 『うちが実篤(さねあつ)さんがええって言いよーる()に、何でそんな卑屈な言い方するん? いくら実篤(さねあつ)さん本人でもうちが好きな人のこと〝俺〟っ(ちゅ)うて卑下(ひげ)するんは聞き捨てならんのじゃけど』  電話の向こうから、ぷぅっと頬を膨らませた子リスみたいなくるみの姿が見えるようで、実篤(さねあつ)は思わず笑ってしまった。  怒られていると言うのは分かっていても、(くるみちゃん、可愛いのぅ)と思わずにはいられない。  くるみと同い年の妹・鏡花(きょうか)がやっても太々(ふてぶて)しくしか見えないだろうに、惚れた弱みというやつは厄介だ。 『そんなん言いよってじゃけど、それなら(ほいじゃあ)うちがその……宇佐川(うさがわ)さんじゃったっけ? その彼と付き合うことにしました、っ(ちゅ)うたら実篤(さねあつ)さん、大人しく引き下がるん?』 「バカ(バッ)! ダメに決まっちょろーが!」
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