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時刻は十八時半。
クリノ不動産の営業時間は午前十時から午後十八時なので、確かに実篤、就労時間を終えてほんの三十分あまり待たされたことになる。
だが、そんなの待ったうちには入らんじゃろ?と思った実篤だ。
確かに女性陣に揶揄われて、「くるみちゃん早よぉ来て!」と思いはしたけれど、それとこれとは別の話だと切り離して考えられる程度には大人なつもりだ。
聞けばくるみ、配達自体は十四時までには(パンが完売する形で)終わっていたらしいのだが、今日はその後、家の近くの畑で季節のパンに入れるサツマイモを掘らせてもらっていたらしい。
可愛い彼女から『掘ったイモの保管やら、泥だらけになった身体なんかをシャワーで清めたりしよったら、結構時間が経っちょって』と聞かされたら、年上の彼氏としては泣き言をこぼすなんて出来るわけないじゃないか。
『ホンマはうち、十八時までには実篤さんの所に来させてもろうちょくつもりじゃったのに。こっちから誘うちょって、ホントにごめんなさいっ』
電話口、ガサッという音が聞こえて、どうやらくるみが頭を下げたらしいことが分かった。
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