1.木の下の子リス

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「――い、いただきます」  言って、もらったばかりのチョココロネを袋から取り出して一思いに大きくガブリと齧り取ったら、目の前の彼女が期待に満ちた目で実篤(さねあつ)を見つめてきて。 (ちょっ、マジでそんなに見られちょったら味、分からんのんじゃけど)  とか思った矢先、口の中に広がったほろ苦いチョコの風味に「ん?」と思う。  あれ? これ――。 「もしかしてビターチョコ?」  思わずつぶやいたら「へへっ。気付かれましたか(いちゃったですか)? 大人のお味を目指した菓子パンシリーズですっ!」と胸を張られて。  ついでのように「は頭から派なんですね」と微笑まれた。 「頭から……え?」  自分が齧ったチョココロネを見下ろして疑問符満載の顔をした実篤(さねあつ)に、「太い側を頭と仮定したら、の話なんですけど」と照れ臭そうに言われて、「実は私も頭から派なんですっ!」と親近感たっぷりの視線を注がれた。
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