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「いや、マジで気にせんでええよ? だって芋掘りもパンの材料調達のためだったんじゃろ? っちゅーことは仕事の延長じゃん? 俺、全然気にしちょらんけん。……それより――」
そこでこちらの会話を耳をダンボにして聞いている様子の田岡と野田を振り返ってから、「俺、もう帰るけど二人はどうするん? まだおるん?」と問い掛けた。
途端くるみが電話の向こうで『え?』と言ってきて、「あー、違う。今のはうちの田岡さんと野田さんにね」と答えてから、再度二人を見遣った。
「木下さんのお顔見たら私らも帰りますよぉ〜? ね〜、野田さんっ」
「ね〜? 田岡さんっ」
机に置いたままにしていた鞄とコートを手にする田岡と野田を見て、(ホンマこの二人はっ!)と思った実篤だ。
「ふたりとも絶対面白がっちょるじゃろ」
ムスッとして言ったら、二人してクスクス笑いながら「だって面白いんじゃもん」と口を揃えて言ってきて。
実篤はくるみに「くるみちゃん、ここへ来たら見せ物にされるけん、そのまま車で待っちょって? 俺がそっち行くけぇ」と言わずにいはられなかった。
でも――。
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