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「謝らんで? 俺も焦って強ぉ、言い過ぎた。――ごめん」
そんなやり取りをする二人を見て、野田が、「私らぁーが遅ぉまで残っちょったけ、ふたりに要らん気ぃ遣わせましたね」と言って、それに追従するように田岡も「ごめんなさい」と謝ってくれて。
「いや、そっちも謝らんで? ぶっちゃけ俺も一人でおるより気ぃ紛れたし」
と思わず労ってしまった実篤だ。
「もぉー! 社長のそういうところっ!」
途端、野田がビシッと自分を指差してきたから、実篤は何事かとびっくりしてしまった。
「そう言うのが私ら従業員を付け上がらせて揶揄われる原因になっちょるんですけぇね!? 自覚して下さい!」
言ってから、「けど――」と少し語気を緩める。
「けど――、社長のお顔に似合わず優しいところ、嫌いじゃないです」
田岡と顔を見合わせてクスクス笑い合う姿に、「顔に似合わずは余計じゃけぇ!」と、思わず突っ込まずにはいられなかった実篤だった。
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