4-2.ハッピーハロウィン!―中編―

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***  一応社長と言うことで、「そこそこ見栄えのする(もん)に乗らんにゃーいけんぞ」と父親に言われて、そんなに興味はないけれど、実篤(さねあつ)はグレーメタリックが綺麗なCX-8に乗っている。  マツダ車を選んだのは、高校時代の友人がマツダの営業をしていたからその付き合いで。  実篤(さねあつ)としては、もっと小さくて小回りのきく軽自動車で充分じゃろと思っていたりするのだけれど、上に立つ者にはハッタリも大事だと言われては無下にも出来ず、従った感じだ。 「強面(こわもて)で有名じゃった栗野(くりの)が社長かよー」  とか何とか揶揄(からか)いながらも、街乗りでの快適性を重視した都市型向けと言われるクロスオーバーの大型SUV車を買うと言った実篤(さねあつ)に、その友人は終始笑顔で接してくれたのだ。  助手席に乗り込んでシートベルトを付けるなり、ずっと黙り込んでいたくるみがガバリと頭を下げてきた。 「ごめんなさい、実篤(さねあつ)さんっ、うち……」  先程も事務所内でくるみが自分に謝ってきたのを思い出した実篤(さねあつ)は、エンジンを掛けてエアコンの設定温度を少し上げたところで手を止めると、くるみの方へ身体ごと向き直った。
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