4-2.ハッピーハロウィン!―中編―

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***  くるみが行こうとしていたのは、市内にある米軍基地内で(もよお)されるハロウィンイベントだった。 「米軍基地(ベース)の従業員さんにうちのパンを贔屓(ひいき)にしてくださっている(くれちょっちゃって)方がいらっしゃる(おっちゃって)んですけど、その方、子供さんの人数が多いけぇハロウィンの夜、助っ人が欲しいっておっしゃって(言うちゃって)」  聞けば今時珍しい子沢山。  上は小学校中学年児童から、下は一歳にも満たない乳幼児という、六人ものお子さんの親御さんらしい。 「五人目が出来た思うたら双子ちゃんじゃったらしいんです」  結果、子供五人でも多いのに、六人の子持ちになられたんだとか。 「ちょっと(うらや)ましいです、兄弟姉妹(きょうだい)がたくさん」  一人っ子のくるみとしては、そんな風に思うらしい。  だが実篤(さねあつ)はそれよりも気になることがあった。 「えっと……もしかしてそれって子供だけがコスプレしたらええんじゃないん?」  大人が一緒になって仮装するのは恥ずかしいんじゃなかろうか?と思ってしまった実篤(さねあつ)だ。  日本のイベントなら大人が仮装をしてワイワイ騒ぐのも結構あちこちであるし、大衆に紛れるならばそれもまたありだと思う。(それでも恥ずかしいことに変わりはないけれども)  だが、本場(ベース)内の、となると話は別だ。
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