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「うちらのハロウィンパーティーは、子供たちとサヨナラした後、二人っきりで、――ね?」
小悪魔くるみは、〝二人っきりで〟とかいうパワーワードを織り込んで、少々夜更かししても大丈夫ですよね?と言外に含ませて実篤を誘惑する。
それを受けて、夜更かしどころか一晩中だって一緒におりたいんじゃけど!と思ってしまった実篤だったけれど、付き合い始めて一ヵ月ちょっと。
キスだってまだ出来ずにいるヘタレな忠犬実篤に、そんな大胆な言葉なんて紡げようはずもなく――。
「そう言や、ベースのハロウィン終わったらどこ行く予定なん?」
と聞くのが関の山だった。
そんな実篤に、くるみは「実篤さんのおうちにお邪魔したいな?とか思うちょるんですけど……ダメですか?」
と、これまた小悪魔モード全開で小首を傾げて見せる。
「え、いやっ、それは別にっ……だ、大丈夫なんじゃけど……く、くるみちゃんはそれで良えん?」
緊張のあまりハンドルを握る手も、言葉を発する唇も、変に震えてしまった実篤である。
そんな実篤に、くるみは瞳をキラキラさせて「それがええんです。凄く楽しみですっ」と微笑んだ。
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