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「あんね、実篤さん。うち、ホンマはちゃんとプレゼントも用意しちょったん。だけど――」
きっとあの大水で流されてしまったのだろう。
言葉を濁して瞳を潤ませたくるみをギュウッと腕の中に閉じ込めると、実篤は「くるみちゃんが傍におってくれるんが俺には一番のプレゼントじゃけぇ何も問題ないよ」と彼女の額にキスをした。
「あのねっ、それでね、実篤さん……。えっと……、失くしたプレゼントの代わりには凄く凄く役不足じゃ思うんじゃけど……。その、きょ、今日はお風呂の後、うちを食べてくれる?」
ごにょごにょ……。
「――っ!」
実際実篤にとってはそれが何より嬉しいプレゼントだと、照れまくってそんなことを言ってくれたくるみには、本当に分かっていないのだろうか?
いきなりの申し出に、舞い上がり過ぎて思わず言葉に詰まった実篤だ。
実はあの災害以来数日。実篤はまともにくるみを抱いていない。
別にくるみに拒まれていたわけではないのだが、ただ実篤自身が傷心のくるみに対してそんなことをしていいのかどうか、何となく迷ってしまっていただけ。
くるみ自身がどう思っているのかは聞いたことがなかったのだけれど――。
「……抱かして貰うても……ええん?」
くるみの顔をじっと見つめて熱のこもった声音で問い掛けたら、「……ええに決まっちょります」とくるみがますます頬を上気させる。
そんなくるみに当てられて、実篤は「ヤバイ、今まで色んな人から貰うてきたプレゼントの中でピカイチに嬉しいプレゼントなんじゃけどっ」と無意識につぶやいていた。
「……うちね、ずっと実篤さんが触れてくれんけぇ、ホンマは凄い寂しかったん。じゃけぇね……今の提案、実篤さんへのプレゼント言うより……うちにとってのご褒美になってしまうんじゃけど……ええ?」
「馬鹿、ええに決まっちょるわ!」
実篤は興奮のあまり、〝入浴後に〟と言われたのも忘れてくるみの唇をふさいだ。
だけどくるみはそんな実篤に抗議なんてしなくて。
小さな手が、誘うようにゆっくりと実篤の背中に回された。
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このページに続く裏話的なお話です。
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