プロローグ

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プロローグ

周りが男ばかりの環境で育ったからか、元々の性質なのか、物心ついたころには性別で分けられたり、見られたりすることが苦手だった。 可愛いものは好きだったけど、スカートよりズボンが多く、一人称は「俺」だった。社会人になっても、気を抜くと「俺」を使いそうになったが、「私」などの女性的な印象が強い一人称に違和感が拭えず、対外的には「自分」を使っていた。 思春期には、自分の性について悩むことが多くなり、答えの出ない思考の堂々巡りに陥り眠れなかったこともある。 そんな中、友人たちと本屋へ出かけた際、自分の中で新しい扉が開く。友人たちは所為オタクで、二次創作などにも嵌っていた。彼女たちが漁っていた棚の本を取ろうとしたら全力で阻止されたので、帰宅後、ネットを駆使した結果、腐るのは一瞬だった。 抵抗はほとんどなかった。 むしろ、しっくりきた気がする。 それまでは男女ものを見ていたが、男同士のものを見るようになった。男女ものだろうが男同士だろうが、いつも思うのは、突っ込みたいとか、限界まで快楽攻めにしてグズグズにして可愛がりたいとかで、いわゆる男役としての欲望だ。いろいろとネットで調べ、性転換をしても欲しいものが手に入るわけではなさそうだったので、女性としての自分を受け入れることにした。 だが、性的思考が変わったわけではない。 セクシャルマイノリティーの交流の場には常日頃行きたいと思っていた。ウエストから腰のラインが綺麗でキュッと締まっているお尻を見るとエロいと思ったし、抱きたい、啼かせたい、甘やかしてグズグズにしたいとも思っていた。 上司の腰のラインが結構好みで目の保養ではあったが、後ろ姿、特に尻だけで誰か判別できてしまった日には、末期だなと思った。 そんな人としてちょっと終わってるやつが、人との性的交遊なんて全くない純潔だけど、興味だけは有り余ってた奴が、事故って異世界転生してその体が男だったら、今までの願望という名の欲望を発散したくなるじゃん。 ・・・さて、男だらけのハーレム作ってハッピーライフと行きますか。
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