1.目覚める欲望

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ひとつ前の俺、いわゆる前世は、そもそも女性だった。 この世界とは別の、いわゆる異世界の住人だった。 どんな人間で、どんな生活をしていたのかははっきり覚えていないが、自身のセクシャリティについて悩み、満たされることのない欲望に渇きを感じていたことだけは強烈に印象付けられている。 余程心残りだったのだろう。その欲望こそが、男になり愛する者を組み敷きたい、デロデロに甘やかしてその身をグズグズに解かして、自分のモノを突き刺して、犯して、孕ませて、溺愛したいというもの。 この仄暗い欲望が向かう対象は男。ターゲットにされた相手にはご愁傷さまとしか言えないが、嫌というほど愛情という名の精をその身に注ぎ込んでやりたいのだ。 大丈夫、脅える必要はない、そのうち慣れるさ。 さて、そんな仄暗い欲望を突如身に宿した今世の俺を整理しよう。 念願かなって、今世は男である。つまり、この身に渦巻く欲望を発散することが可能である。 ワクワクが止まらないぜ!
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