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短編ストーリー。
――愛は、永遠だと思っていた。このまま、ずっと。海里といつまでも続くんだと思っていた。海里は私の初恋の相手だった。中学生の時から、私達は付き合っていた。
はじめは、ただの友達の関係で良かった。なのに私は欲張りだ。海里とは友だちだけのままで良かったのに、私は海里を好きになってしまった。だから放課後の帰り道に海里に思いきって告白した。海里は、見た目は凄くカッコいいし。他の女子達にも人気だった。海里は、そんな冴えない私をいつも構ってくれて、話しかけてくれて、それが嬉しくて、段々と打ち解けて仲良くなった。告白した時は玉砕を覚悟していた。だって眼鏡をかけた冴えない女の子なんて、クラスの男子なんかには絶対モテない。それなのに海里は私が告白したら「知ってる。俺もお前の事が、ずっと好きだった」って言ってくれた。
その一言に私は涙を流して、彼の腕の中で泣いた。そこで思った。どんな恋も決して叶わない恋は無いんだと――。
その日の帰り道の夕焼けは綺麗だった。彼と一緒に並んで手を繋いで帰った。すこし照れくさそうにしている彼の横横が可愛いくて、私も隣で照れてうつ向いた。海里の掌は私よりも大きかった。その大きな掌は温かくて、冬の季節も忘れてしまうくらいだった。その時の幼い恋は私の中で今も色鮮やかに残っていた。何年経っても、あの時の新鮮な気持ちは、私の中では永遠だった。
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