506人が本棚に入れています
本棚に追加
/180ページ
***
婚姻届を出した週の終わりに、二人は結婚写真の撮影をするためにフォトスタジオを訪れた。
予約と打ち合わせで二度ほど訪れており、萌香のウェディングドレスも当然決定している。
打ち合わせの時はサイズを合わせるという程度だったが、化粧をしてヴェールをつけた姿を見ると、正人の表情が輝いた。
「綺麗だ」
彼女のイメージどおりの清楚なウェディングドレス姿に、素直な感嘆の声が出たが、聞いた萌香が赤くなった。
「そんなことないよ……平凡だって」
「ママ、綺麗だよな。晴斗もそう思うだろ?」
確認した言葉に返してきたのは、息子ではない。
「正人さんの言うとおり。萌は世界でいちばん綺麗なの。花嫁は、誰よりも綺麗なんだから」
「……菜月」
「菜月、どうして?」
最初のコメントを投稿しよう!