第七章 想定以上の幸福

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 萌香の左手を取って、薬指に結婚指輪を通す。  婚約指輪の時も、正人が彼女の薬指に通しているが、結婚指輪だと感動の度合いが違うと思った。  次は、萌香から正人の左手薬指に。  やっとお揃いの指輪をつけられたと思うと、心からの幸せを感じる。  「萌、正人さん、おめでとう!」  言いながら、菜月が萌香を軽く抱擁した。英明と直樹も感慨深そうな表情だ。  晴斗が出来た時に、二人は萌香を相当助けたと聞いている。〝妹〟の幸せな姿を見る二人から、安堵と満足が伝わってきた。  そして、その後すぐに始まった撮影では、夫婦二人だけでなく、晴斗と一緒のものも(うつ)した。  そのために、晴斗も着替えている。自分とお揃いの服を着た息子は、本当に可愛いと思う正人は、ただの親バカだ……
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