第七章 想定以上の幸福

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 そして、来てくれた三人を含めた集合写真を、菜月が持参したデジタルカメラで()った。  想定していたようで、菜月はパーティでも不思議でない服だし、英明と直樹はスーツ姿だ。  ただの見学なら、もっと気軽な服装だから、萌香の節目を祝いたいという思いからだろう。  実際、全員で(うつ)したから、正解だと思う。  「うん。いい写真になった。父さんたちが欲しがっててさ。帰省まで待てないって言われてるから、送ることになってるんだ」  「俺たちにも、もらえるか?」  正人の言葉に、英明と直樹も頷いている。  「大丈夫。人数分、プリントするから」   正式な写真ではないからリビングに飾れそうだと、正人は思った。  (どんなフレームがいいかな)  彼の内心を知ったら、菜月たちは相当驚くだろうと、正人は少し可笑(おか)しくて威張る気持ちだった。
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