第八章 君は、俺のすべて

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 「まさか……萌香……」  驚く正人に彼女は頷いた。  「多分。来てなかったの。それに前と同じ感じで……検査薬は使ってないけど、間違いないと思う」  正人は息を飲むと、急いで彼女の横に座っておなかに触れた。  「ここに?」  「うん、きっとね」  驚きが去ると喜びが込み上げてきた。  「分かった。明日、絶対病院に行ってくれ。  子供……俺たちの子供か……」  晴斗の時は何も知らずに、正人は萌香を一人きりにした。今度は絶対傍から離れない。  「今度は生まれる時に立ち会えるんだな。今から楽しみだよ」  言いきる正人に、萌香は静かな笑みを向けてきた。優しい笑顔に、正人は幸せを感じた。  「今度は二人で産むんだね」  萌香の言葉に、余計に幸せになった。
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