第二章 屈辱と得られない癒し

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 ***  数日後、正人は国内営業部の部長と一緒に社長室へと入った。  社長は渋い表情で二人に告げてきた。  「鉱山の件だが、交渉終了の連絡が来た。  霧山商事がすべての権利を取得したそうだ。街の再開発と一体型で進めるという計画を受けると。  鉱山だけなら、うちの条件が一番と思うが、他のプロジェクトも並行してくるとはな……  桐島くんにはご苦労だった」  一気に言うと、社長は二人に退室するように合図をしてきた。  「力及ばす申し訳ございませんでした」  屈辱感をこらえて正人は頭を下げた。圧倒的不利の状況での交渉でも、失敗に対して申し訳ない気持ちはある。  頭を下げた正人を見ても、社長は(うなづ)くだけで何も言わなかった。  業務に厳しい男性なので、叱責(しっせき)があると思ったから意外だった。おそらく社長も、採掘権の取得は難しいと想定していたのだろう。  (無理って思ってたなら、さっさと諦めて撤退すれば良かったんだよ!)  だが、終了して解放されたのも事実。正人はホッとした気持ちで社長室を出た。
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