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「いいのよ。本当のことだし。悪いけれど、私はエマが探していたエルフじゃないの。悪いけど、他を当たってくれる?」
言ってからトゲのある口調になっていたことに気づく。
エマは少し黙り、そしておずおずと口を開いた。
「あの……図々しいのは承知なんですが、他のエルフの方を紹介してもらえませんか? ここに来るまでに、色んな人に『エルフなんてもうこの世に居ない』とか散々馬鹿にされたんです。そもそも存在自体が作り話だなんて言う人もいました。ようやく辿り着いた夢なんです!」
「無理ね」
私は間髪入れずにそう返す。
言った途端、エマの身体がピクンと揺れたのが見えた。
「意地悪したいわけじゃないの。無理なのよ。だって、私も他のエルフが今どこに居るのか知らないんですもの」
「え!? ルシアさんは一人でここで暮らしてるんですか? 私が調べた古い文献にはこの森のどこかにエルフの里があるはずだったんですが……」
「好きで一人暮らし暮らしているわけじゃないわ。言ったでしょ。魔法が使えないって。私は生まれつき魔力がゼロなの。そしてエルフは身に宿す魔力量で価値が決まる。つまり無価値な私は、里から捨てられたのよ」
話し始めた私は、どうせだからと自分の身とエルフの里に何があったか、知りうることを全て話した。
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