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「どうやってって、こうやって、こう! ってしただけだよ。簡単でしょ?」
そう言って、私は手に持った木の棒を軽く振り下ろす素振りを見せた。
かなり軽く振ったつもりだったけど、辺りに強風が発生し、落ち葉が舞う。
「え、えーと。ルシアさんでしたね。とにかくありがとうございました。このお礼はどうやってお返しすればいいか……」
「あ、エマ。ちょっと待ってね。先にこいつを処理しないと。食べられなくなっちゃうから」
キョトンとしたエマをひとまず置いて、私はバイコーンの死骸へと足を運ぶ。
そして力任せに二本の黒角を引き抜いた。
「な、何やってるんですか!? バイコーンの角には猛毒があるんですよ?」
「そうだよ。だから、殺した後はさっさと抜かないと、毒が身の方にまで回って、食べられなくなっちゃうでしょ?」
「え?」
いつもならバイコーンを見つけても、こいつを狩りの対象にすることはまずない。
いくら角を抜いたとしても、生きている間にすでにバイコーンの身には少量の毒が含まれているからだ。
つまり、こいつの肉ははっきり言って不味いし、食べる量に気を付けないと、身体にも悪い。
だから、私はこいつが苦手なのだ。
「ば、バイコーンを食べるなんて! 自殺行為ですよ!?」
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