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「私も昔はこいつの毒のことに詳しくなくて、何度か死ぬ思いをさせられたけど、きちんと処理すれば食べられるの。不味いけどね……」
バイコーンの血抜きなどの処理をしている間に、エマに聞かなければいけなかったことを思い出した。
私はエマの方に身体を向け、目線をしっかりと合わせてから、おもむろに口を開く。
「エマ。実は、エマに聞かなくちゃいけないことがあるの……」
「は、はい……なんでしょうか……?」
私の問いかけに、気迫を感じたのか、エマの唾を飲み込む音が私にまで届く。
意を決して、私は質問を投げかけた。
「なんで私のこと、女だってすぐに分かったの? エマの胸はすごく膨らんでるから、私はエマが女だって分かったけど」
「はい?」
「いや……遥か昔の記憶だから私も自信がないんだけれど、女には胸があり、男には胸がない。それが男女の違いだって聞いたはずなのよね。でも、自分で言うのもなんだけど、ほら……私の胸って……」
「あ、なるほど! って、手を打ってる場合じゃないですね。遥か昔の記憶って、一体ルシアさんはその話聞いたの何年前の話ですか? 大人が子供に教えるくらいのやつですよね。それ」
エマはまるで私が子供の時置き去りにされて以降、誰とも話したことがないことを知っているようだ。
そんなこと一切話してないのに、何故エマはこうも私のことをすぐに見抜くのだろう。
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