いつか薔薇になれる日まで【「超・妄想コンテスト裏会場」奨励賞受賞作品】

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 すると彼らは白百合に腹を立てて怒鳴りつけ、全力で追い出しにかかった。 「ここはお前なんかが来るところではない! とっとと立ち去れ!」 「ごめんなさい。花園だと勘違いして、うっかり迷い込んでしまったんです。すぐに失礼しますから」 「おい、ちょっと待て。ここは花園だぞ?」 「え、ここは肥溜めですよ? だからあなたたち糞尿は、ここにいるんでしょう?」 「なんだと? ここは肥溜めではない! それに俺たちは糞尿なんかじゃないぞ!」 「え? あなたたちは糞尿ですよ」  百合が糞尿たちに事実を告げると、糞尿たちは怒り狂って口々に百合を罵る。 「違う! 俺たちは花だ! そのうち薔薇にだってなれるかもしれないんだぞ!」 「そうだ! お前こそが汚い糞尿だ!」 「臭いぞ! お前のような糞尿はさっさと立ち去れ!」  怒り心頭の糞尿たちのうちの数名は、百合を罵るだけでは気がおさまらず憎しみまで募らせ、肥溜めの持ち主に陳情しに行く始末。 「汚くて臭い糞尿がやって来て、私たちを糞尿呼ばわりするんです! あんな失礼な糞尿は即刻、花園から追い出してください!」と。
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