いつか薔薇になれる日まで【「超・妄想コンテスト裏会場」奨励賞受賞作品】

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 糞尿たちは「自分が糞尿である」という事実を認めず、百合のことを「糞尿だ」と虚偽の主張をくり返し、怒り狂って排除しようとするばかり。  百合は途方に暮れるが、 ――どう説明すれば、彼らに真実を理解させる事ができるのかしら?――  と真剣に考える。  このように百合は、生真面目で誠実な努力家だ。自分になんの得もなくたって他者のために一肌脱ぐようなお人好しだから、いつも損ばかりしている。 「馬鹿と話すだけ無駄だ」と簡単に見捨てるような、そんなドライな性格ではない。相手を即座に格下認定したり、馬鹿扱いして見限ったり、そんな薄情なことができない親切で慈悲深い、聖女のごとき性格なのだ。 ――きっと相手は何か誤解をしているだけ。その誤解さえ解ければ、きっと事実を正しく理解できるはず――  そして、 ――世の中に悪い人なんていない。ほんとはみんな善い人たちなのよ――  という性善説に基いて生きているのだ。
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