いつか薔薇になれる日まで【「超・妄想コンテスト裏会場」奨励賞受賞作品】

7/7
前へ
/7ページ
次へ
 すると、どこからか清々しくも甘い香りが漂ってきた。糞尿たちは、お世辞を言い合っていた口を動かすのも忘れ、香りの主の姿を探す。と、肥溜めの(ほとり)に紅薔薇の姿をみつけたのだ。  この薔薇も、うっかり間違えて迷い込んで来たようだ。薔薇の品評会では姿形部門で金賞に、香り部門でも金賞に輝いた、誰もが認める名実ともに素晴らしい紅薔薇である。  憎悪に駆られた糞尿たちは、紅薔薇に激怒し恫喝する。 「臭い! 汚い! ここは、お前なんかが来るところではない! 糞尿はとっとと、この花園から立ち去れ!」 了
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加