1. 終焉の始まり

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1. 終焉の始まり

〜アメリカ合衆国フロリダ州〜 「こちらマイアミ救命25分署、ロイ・ハリス。20分後に到着予定です」 夜のハイウェイを市内へ向かう救急車。 ベテラン救命士が、ERへ確認を取る。 「救命病棟のコンウェイだ。状況は?」 「外傷は特になし、意識は無く心拍異常あり、正脈取れず、自己呼吸なし」 (いったい…どうなっているんだ) 救命士22年にして、前例のない症状であった。 (ん…なんだ…?) ふと、異様な空間に気付く。 車内灯は点いている。 しかし『闇』が、車内に充満し始めていた。 (うっ…) 意識が朦朧として来る。 (…どうした、ジミー…窓を……) それは、声にはならなかった。 もし声になったとしても、既に意識のない運転手には、聞こえるはずもなかった… ・・・2分後。 横転し、煙を上げている救急車。 そのそばにワゴン車が停まった。 後部座席から降りた義足の男が、救急車のバックドアを開く。 闇は消え、ついさっきまで意識の無かった者が、1人座っていた。 「私はミゲル。あなた様の味方でございます」 開けたドアから、ゆらりと降りて来る。 もう1人が、の救急車に爆弾をセットした。 「さあ、どうぞお乗りください」 (日本へ) 頭の中に響く声に、一瞬驚く。 が、それは直ぐに、喜悦の笑みへと変わった。 走り去るワゴン車。 「ドドーン💥🔥」 後方に響く爆音。 「引き返せ」 ミゲルが運転手に指示した。 中央分離帯の切れ目に設けられたバリケードを破り、ワゴン車はマイアミ国際空港へと戻って行った。 復讐に燃えるミゲル。 しかし彼は、この者の真の恐ろしさを、理解してはいなかった。
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