4. 哀しみの再会

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中へ入る2人。 「待て!」 ティークがサングラスを渡す。 「な…なにこれ」 「部屋が赤いのはカモフラージュか」 部屋中を見渡すティーク。 おもむろに銃を出し撃つ。 「バシュ」 赤外線センサーが消えた。 捜索開始である。 「ティーク、これ」 「設計図か…これは、まさか!」 「他には無さそうね、それが何か分かる?」 「トリノ砲…に似てはいるが、あの出力を出すには小さいな…形状も複雑だ、待てよ」 ティークが赤い部屋を見渡す。 何かを見つけ、赤い壁の一部を軽く押した。 軽い金属音のあと、壁が四角く浮き出る。 内側にタブレット端末があった。 「恐らくこれが、操作用プログラム端末だ」 「しかし、何かおかしい…」 ヴェロニカは、最初から気になっていた。 「モノの配置や向きが…違う」 父と母の癖や性分は良く分かっていた。 「誰かが、先に来ていたってことか」 (まさか) 「ヴェニー、街中がやけに当たり前過ぎやしなかったか?」 「そう言われると、確かに」 (罠か) ティークの防衛本能が危険を察知した。 「伏せろ!」 「ガガガガガガガガガガガ❗️」 機関銃の乱射で、あらゆるものが弾け飛ぶ。 「キュイン」 ヴェロニカの上に被さったティークから、何かが起動する音がした。 「これを持って、ここから動くな」 言った瞬間に、窓のある壁に跳ぶ。 「ヒューン!」 右腕から現れた青い光が(やいば)を成す。 「フッ」「グッア」 壁に刺した刀が外の敵を貫く。 「ガシャン」 そのまま窓を突き破り外へ飛び降りる。 降りながらジャケットやベルト、あらゆるところからパーツを取り出して組み合わせる。 着地と同時に右へ跳ぶ。 「ガガガガガガガガ」 今いた場所に機関銃が穴を穿つ。 転がりながら片膝を付いた時には、短めのライフルがヘリを狙っていた。 「ダンッ❗️」 1発放ち、転がりながら屋根から降りてくる敵を仕留める。 「ダンダンダンダンダン!」 「ガシャ、ドーン💥」 ヘリの機銃口に撃ち込んだ弾が暴発を招き、煙を上げながら墜落するヘリ。 「ドガーン💥❗️」 スパイアイが、屋敷の中の複数の敵を捉える。 「クソッ!」 「キュイン」加速装置が稼働した。 その2階の敵の前へジャンプする。 「ガシャン」 「ヒューン❗️」 着地した瞬間に向かって来る敵に横一閃。 一気に5人の動体を断ち切った。 「ティーク❗️」 (クッ、裏か!) 「シュ!」「キュイン」 「ドガーン💥🔥」 投げた小型爆弾の方へ加速して走る。 「シュパ、バーン❗️」 残った壁を斬り、ぶち抜いたティークが跳ぶ。 「ダダダダダダ!」「キンキンキンッ」 空中で弾丸を斬る。 「ゥラァアー❗️」「バシュ!」 ヴェロニカを乗せたジープのドライバーを、頭上から貫いた。 「ヅンッ!」「ヅンッ!」(C4、クッ) 「掴まれ❗️」 ヴェロニカを抱き上げ跳んだ。 「ドガーン💥」 ジープが吹き飛ぶ。 ヴェロニカを(かば)いながら転がる。 (あと1発、クソッ) 「ドガーン💥」 屋敷の角部屋が吹き飛んだ。 「ヴェニー、大丈夫か?」 「はい。でもごめんなさい」 タブレット端末は奪われていた。 思わず抱きしめるティーク。 「無事ならいい…お前の方が大切だ!」 「ヴェロニカ様ぁ❗️」 「リーシャ!」 走り寄る2人。 「無事で良かった」 走り去る敵に、拳を震わすティーク。 「リーシャ、ごめんなさい。私達が来たことで、危険な目に…」 「あの部屋は?」 爆破された部屋を指さす。 「チェコノヴァ様のお部屋でございます」 「ヴェニー、直ぐに帰るぞ」 「リーシャ、ごめんなさい。行かなきゃならないの」 「分かっております。裏の車庫にお母様のお車がありますのでそれをお使いください。くれぐれもお気をつけて。ティーク様、ヴェロニカ様をお守り下さい」 「分かっていたのですか」 「はい。ありがとうございます。でもヴェロニカ様のお気持ちは、本物でございます」 「リーシャ!なにをまた💦💦」 「分かっています」 「えっ?」 「行きますよ、ヴェニー様」 (服装は普通だが、武器はロシア軍のもの) 「ヴェニー、チェコノヴァってのは?」 「なぜですか?」 「最後の1発は、明らかにあの部屋を狙ったもの。見られたくないと考えるのが普通だ」 「……」 「姉妹か」 「姉よ。もっとも、父とは思想が違って、仲が悪かったけどね」 「姉は軍人か…」 「ロシア海軍の上級兵よ、今は知らないけど」 (海軍か…なるほどな) ヴェロニカの短い里帰りは終了した。 新たな疑惑を残して…
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