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〜ロシア〜
サンクトペテルブルク、プルコヴォ空港。
ティークとヴェロニカが着いた。
既に空港は閉鎖され、明かりも少ない。
車を降りる2人。
(なんだ…)
と感じた瞬間。
眩しい照明が一斉に照らされた。
「クッ!」
「無駄な抵抗はおやめください」
「ベルシス!どうゆうことですか⁉️」
「先ほど軍から連絡がありました。そちらのティークという者が、屋敷を破壊し、ヴェロニカ様を拉致したと。さあ、ヴェロニカ様を解放しなさい」
警察に完全包囲され、銃口がティークを狙う。
「ハメられたな」
「ベルシス!彼は味方よ!襲ったのは…」
咄嗟にティークが口を塞いだ。
「無駄だ、仕方ない。許せ」
素早く銃を抜き、ヴェロニカの喉元にあてる。
「動くな!動いたら殺す」
警察に動揺が走る。
「銃を捨てなさい、逃げられはしない」
ベルシスも必死であった。
「バン❗️」
ティークが空へ1発放ち威嚇する。
「ヴェニー、お前は安全だ。必ず迎えに来る」
ヴェロニカも悟った。
自分を連れては、逃げられない。
スパイアイで機体の位置を把握した。
「必ず迎えにくるからな」
「キュイン」
加速装置を起動。
「バンバン、バン、バン、バン!」
警察の足元へ2発威嚇し、照明を撃ち抜く。
「シュン!」
軽々とフェンスを飛び越え、闇の中へ走る。
「パンパンパン、パンパン」
警察が乱射するが、当たるわけはない。
「オートモード起動、掃射!」
リモートで機体を動かす。
「ガガガガガ!」
機銃が格納庫のシャッターを粉砕した。
「オープン、垂直上昇起動、前へ15」
期待が格納庫から出て来た。
主翼が広がりファンが回転を始める。
ハッチが開く。
「Не отпускай!」
(逃がすな!)
「Схватка!」
(緊急発進!)
空港に常備されている軍用ジェットが2機、スクランブルの準備に入った。
走り出した機体にティークが跳び乗る。
「オートモード解除、クソッ❗️」
ハイパワーモードスイッチを押す。
コスモジェットの白煙が噴き出し、強烈なGに体がきしむ。
「グッ」
フェンスが迫る。
加速しながら、垂直上昇スイッチを入れた。
「クッ❗️」
真下へのGが加わる。
強靭な肉体がその加速度に耐える。
そのまま一気に13000mまで上昇していく。
追尾するジェット機がスクランブルした。
しかし、彼らの機体では、10000mが限界であり、追跡は不可能である。
「アイ、こちらティーク、ラブはどうした?」
「ティーク、ラブは今緊急回復処置中だ!」
「なに⁉️何があった?」
「一時的な精神障害らしい、そっちこそどうしたんだティーク?」
「ハメられた。ヴェロニカはまだロシアだ」
(クソッ!)
「ヴェロニカ様、どうぞこちらへ。とんだ災難でございましたね」
「Ребята, если вы превратите ее во врага, вы пожалеете об этом❗️」
(ラブを敵に回したら後悔するわよ❗️)
「そのラブさんとは、連絡がとれません」
「えっ⁉️」
ラブのアクシデントに、ティークまで。
不穏な気配が漂い始めていた。
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