1. 終焉の始まり

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役者は揃った。 視聴率30!のカンペが出る。 驚くリサと風見鳥。 「凄いメンバーが来てくれました」 拍手が湧き起こる。 「いやいや、確かに皆さん強打者なんやけど、なんかデレーっとして、どないなってんの❗️」 「生ラブ、はず…初めてなんで💦」 ホームランダービー1位を走る倉田が照れる。 「噛んどるし❗️しゃんとし、しゃんと!」 「そうですよね…あっ、ちゃんと生脚ですよ」 「言うてないし❗️」 強打者が(とろ)けるのも無理はない。 半袖のユニフォームに、かなりミニのショートパンツからスラリと伸びた美しい脚。 野球帽の額から、細く垂れた淡いブラウンの前髪が、色っぽく美しい顔立ちを飾っていた。 「ところでリサさん、私が投げて打たれなきゃいいって感じ?」 「あ、ルール説明してかったですね💦」 「しゃんとし〜❗️❗️」 「5人を全員三振にできたら、ラブさんの勝ちです」 「分かった❣️」 「勝てるわけ無いやん、ナンボなんでも」 「大丈夫!私に負けるの二文字はないから!」 「三文字やんカァ❗️二文字ならちゃうやろ」 「おっと💦やり直し。私に負けるの三文字はないから❣️」 「敗北の二文字やろ〜❗️」 「で、私が勝ったらなんか貰えるのかな?」 「実は、負けた方がプレゼントするってのが、ルールなんです〜❣️」 「セコっ💦、です〜❣️やないわ❗️番組安上がりやん!」 「あ、でもそれ面白いですね。じゃあ私に誰か勝ったらぁ…あなた達だけのマスコットになって、みんなのベンチ入りします💖」 「マジですか❣️」喰いつく倉田。 「その代わり…私が勝ったら、今日のお客さん全員にどちらかのシーズンチケットを❗️」 客席から大きな拍手。 「逆提案出ましたが、どうしますか?」 「いいっすよ、なっ!」 倉田の()しに笑いながら頷く4人。 交渉成立である。 「さぁ、真剣勝負❗️ちなみに、どれくらいのスピード出せると思いますか、ラブさん?」 「普通は、どれぐらいなんですかぁ?」 「速球投手は、160キロくらいですよね」 既に勝った気分でニヤけ顔の面々が頷く。 「そんだけ?テニスとか200キロとかあるじゃないですか。私、ナイフでも多分…160キロは軽いと思います」 「例えが怖ッ💦」 …が、事実である。 「では、真剣勝負開始❗️🎉」 「古田さん、よろしくお願いします💖」 「はいよ❗️ビシっと行きましょう」 マウンドに立つラブ。 大きく深呼吸を一つ。 うつむいて、イメージを作る。 (ラブ様、ティーク様が戻られました) アイの頭に、マザーシステム AI《アイ》の声が届いた。 (了解。データまとめといて) 「プレイボール❣️」 「投球練習なしですか❗️」 「要らない。イメージできたから」 つい、笑顔が消えていた。 (おっと💦いけない、いけない) 倉田が笑顔で構える。 「行きます❗️」 「シュン!」真っ直ぐに天へ伸びる左脚。 古田はど真ん中にミットを構える。 ラブならそうすると、なぜか感じた。 「ザッ!」美脚が目一杯前に踏み出す。 倉田からは、しなるラブの右腕が見えない。 「フんッ❗️」「シュ パァン❗️」 「えっ?」「なっ⁉️」 投げた事すら見えなかった倉田。 受けた事すら分からなかった古田。 「痛ッ❗️」掌の痛みでそれに気付く。 「ス、ストラーイク❗️」 瞬間静まり返ったスタジオが、アンパイアの声で大歓声に変わる。 「す…凄すぎ…る」MCも忘れてしまう。 呆然とする打者達…💧 (しまった💦) ティークの報告が気になり、つい力を抜くことを忘れてしまったラブ。 「チョイタンマ!」 古田が厚手の手袋をして、無理矢理ミットに手を押し込む。 「すご〜い、ラブさん❗️早すぎて見えない」 速度表示が計測不能と出る。 会場がどよめく。 第2球目。 少し抑えたラブ。 それでも到底打てる速さでは無い。 球速、186キロ。 振る事すら出来ない倉田。 ミットを動かす間もない古田。 再び会場がどよめく。 もし当てたとしても、木製バットが勝てる球威ではなかった。 倉田を三球三振にとったラブ。 「倉田選手、アウト〜❗️」 リサの叫びにガッツポーズのラブ。 観客席から歓喜の掛け声と拍手。 続く坂崎選手、栗田選手も、目が点のままバッターボックスを去る。 4人目で、古田捕手がギブアップした。 「おっと、なんと古田さんがリタイア!」 「なんでやねん❗️」 「手ぇ痛くて、もうむりです💦」 笑いと共に、歓声が湧く。 「さぁ、予想外の展開。やはりラブさんは半端なく凄かった❣️」 捕手無しでは、アンパイアも居ない。 「これでいいやろ?」 風見鳥が、壁に古田とミットの絵を描いた。 客席が笑う。 「じゃあ、本気でいきま〜す❣️」 ラブがグローブを置き、左手にボールを握る。 「私、左利きなんです」 「マジか〜ッ⁉️」 風見鳥の叫びに、客席も反応する。 「行きます!」 右脚が美しく天へ伸びる。 「フンッ❗️」「シュ バンッ❗️」 大きな音がして、潰れたボール⚾️が転がる。 カメラがスクリーンにミットの絵を映す。 ど真ん中にボールの跡がクッキリ! 「ストラーーイク❗️」 アンパイアの声で大歓声が湧く。 あっと言う間に、全員三球三振で終了した。 「おめでとう🎉ラブさん勝利〜❣️」 「挑戦者逆になっとるやん❗️」 「皆さん、おめでとうございます🎊」 ラブの声に客席が盛り上がる。 あとは、ワイワイと雑談したり、ラブの歌などで、高視聴率をキープしつつ終了した。 「ラブさん、ありがとうございました」 「これで、借りは返したわよ、リサさん。成功おめでとう。頑張ってね❣️」 忙しいラブを、これ以上引き止めはしない。 深く礼をして見送るリサであった。
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