2. 深まる謎

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〜東京銀座〜 飛鳥組傘下の鬼島組本部ビル。 今は亡き鬼島組長。 その後を託された飛鳥神は、組員の頼みを快く承諾し、看板はそのままとなっていた。 その前に一台の黒いBMWが停まった。 助手席と後部座席から2人の外国人が降りる。 1人は長身、もう1人は対象的に背が低く、義足の足首が裾から覗いていた。 まだ遅い通勤組もいて、人通りは多い。 だが、その異様な雰囲気に、皆んな2人を大きく避け、見ないフリで通り過ぎる。 自動ドアが開き、義足の男が先に入り、もう1人も後に続く。 「なんだぁ?…って💦、えっと…ニッポンゴ…ワカリマスカ?」 異様な雰囲気に、一瞬無意識の警戒心が走る。 が、それ以上に、慣れない外国人に対する焦りの方が勝った。 「キジマ、イルカ?」 (話せるじゃん💦) 「う〜ん…わかるかな?、キジマ…ボスハ、ん〜と💦、モウイナイ」 「そんなんで、わかるんか?」 焦る若者に、もう1人が加勢する。 「イナイ?」 「そうそう❗️ほら、通じるじゃねぇか」 「ドコニ、イルカ?」 「えっと、待てよ…どこに?と来たか💦」 その時、BMWの後ろに緑のベンツが停まった。 (ん?) 後部座席で飛鳥組若頭、飛鳥神の目が細まる。 「神さん、ここにVIPな客は珍しいっすね」 振り向く運転手……💧 「あのね神さん。やっぱり緑のシートに、緑のスーツって保護色コーデ、やめません?」 「仕方ねぇだろが、赤のベンツは修理中なんだからよ」 「いや💦そういう問題じゃなくてね」 「原田、BMのナンバーメモっとけ」 「神さん、今時はスマホカメラです…って、初めて名前呼んでくれましたね!」 「ぁあ?そうだったか?」 確かに初めてである。 凄腕専属ドライバー原田岬。 「どうせ誰かさんが、忘れてただけじゃねぇか?」 ………💧 さすが、鋭い神💦 車を降りた時、ドアが開き、2人が出て来た。 お互い視線は交わさず…すれ違う。 この時、(じん)の意識は2人ではなく、背後から攻め寄せる様な、異様なモノに向いていた。 ドアが閉まる。 (なんだ…あれは?) 神のこめかみを、一筋の汗が流れ落ちた。 「神さん! いらっしゃいませ」 「…今のは?」 「大変でしたよ、もう💦何とか日本語が通じたみたいでしたけど、焦ったわ〜いきなり外人さん来るなんて聞いてないし、なぁ」 もう1人も疲れた顔でうなずく。 「そうか、…で?誰なんだ?」 「……エッ?」 (マジかお前ら…💧) 「全く、なら要件は?」 「それが…鬼島の親分を訪ねて来た様で、いきなり死んだ!なんて言うのもなんだと思って、イナイって答えたんですよ。いや〜要らぬ気は遣わねぇ方がいいっすね💦、そしたら、ドコニイル?って来やがった!ドコって言われてもなぁ…」 もう1人も、うんうんとうなずく。 「そっからがてぇへんで…」 「分かった分かった、もういい💧。とりあえずは無事でよかったぜ、全く」 「はい。神さんも知らないっすよね?」 「義足の奴はな」 「義足🦿?そう…でしたっけ?気付かなかったな〜さすが神さん❗️」 (はぁ…幸せな奴らだぜ) 「先日の鬼島の命日に、ちょっとゴタゴタしてて来れなかったから、線香でもと思ってな」 「ああ、あの時はマジ東京ヤバかったっすからね〜。わざわざご苦労様です。親分もきっと喜びます」 微笑む鬼島の顔は、全く想像出来なかった💦 正直、数える程の面識も無い。 ただ一度(つら)を合わせただけで、信頼に足る人間だと言うことは分かった。 線香をあげ、『見舞金』の束を渡す。 「助かります、神さん。ご苦労様でした❗️」 深礼する留守番の2人を背に、ビルを出る。 ふと、BMW…いや『何か』がいた空間を見つめる神。 修羅の道を生き抜いて来た天性の勘が、得体の知れない恐怖を感じていた。 「神さん、どうかしやしたか?」 「いや、何でもねぇ」 吹っ切る様にひと息つき、車に乗り込む。 「写真は撮ったか?」 「もちろんですよ。ついでにあのヤバそうな2人も撮っておきやしたぜ。神さんの携帯へ送っときました」 「やるじゃねぇか、原田!今から、TERRA《テラ》へ向かえ」 知らせるべきモノだと、直感した神であった。
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