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「門岡さん、大丈夫ですか?」
「大丈夫です。いや、大丈夫じゃないですけど、大丈夫って言うしかないです。話を進めてください。」
「わかりました。ご主人の隣にいるのは槙野慎一郎さん。ご主人より1つ年下の男性で、職場で同性愛者と公言している方のようです。他3枚の写真も同じ方と一緒に写っています。」
中山さんはその後2人の会話の録音等不倫を裏付ける証拠をくれた。しっかりと料金をお支払いし、家に帰った。中山さんとの話が長くなり、今日は郁人よりも遅く帰った。家に入っても何も声を発さなかったが、郁人の方から話しかけてきた。
「帰り遅かったんだね。どこに行ってたの?」
「…」
私は黙る。怒鳴ってしまうのは簡単だけど、それじゃ駄目だと思った。一旦経緯を聞こう。そう思った。
「…?どうしたの?何かあった?」
「…これなに?どういうこと?」
私は郁人に写真を見せる。
「…これは…」
「この日のやりとりの録音もあるよ。聞く?」
「いや、大丈夫。もう言い逃れはできないんだね。」
郁人は何故か清々しい顔をしていた。病みきった顔をした私とは正反対だ。
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