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やってきたのは私達夫婦の家の近くにある「中山探偵事務所」だ。40代くらいのおじさんが1人でやっている。浮気調査くらいしか仕事が来ないらしいが、その分浮気調査には慣れているだろう。そう考えてここを選んだ。私は早速中に入って依頼をした。
「門岡さんですね。ご主人の不倫を疑っているから証拠を突き止めてきて欲しいと。そういうことでいいですね?」
「はい。」
「わかりました。お受けします。ここからは参考までの質問です。答えたくなければ答えなくても構いません。ご主人の不倫を疑った理由はなんですか?」
「えっと…お恥ずかしい話なんですけど、夜の関係があまりにも少ないんです。私はずっと在宅勤務をしているので、殆ど家にいるんですが夫が欲を解消している様子がなくて。20代の男性が我慢できるものなのかなと。」
「関係がない期間はどれくらい?」
「ここ半年はゼロです。1年遡っても1,2回あるかくらい…」
「なるほど。20代ですか。セックスも自慰も殆どせずに1年。無理ですね。不能でなければきっと不倫していると思いますね。」
「そうですよね…。」
「門岡さんみたいな理由で疑いが出た場合は証拠を撮るのは簡単です。尾行してホテルから出てくるところでも撮ればいいんですから。でもね、その後、私の手から離れた後は揉めることが多いみたいですよ。向こうはただの性処理感覚。不倫と思ってないんです。関係修復を図る方もいらっしゃるんですが、それは難しいと考えてもらった方がいい。それでもご依頼いただけるということでよろしいですか?」
「はい。疑ったまま過ごすのは嫌なんです。夫が不倫をしていたならもうそこで関係は終わりです。所詮は紙の上だけの関係ですから。」
「わかりました。では必要事項をお聞きします。」
私は探偵の中山さんに夫の勤務先情報や家を出る時間、帰る時間等調査に必要な情報を伝え、家に帰った。今日は仕事の後、夫が帰るまでの数時間大学自体の女友達数人とリモート飲み会をする約束になっている。せっかくだ。この愚痴を聞いてもらおう。そう思った。
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