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「うん。なんで?」
「…俺は同性愛者なんだ。」
もうとっくにわかってたけど、本人から言葉で聞くと大分ショックだった。
「…両性じゃなくて?」
「うん。同性だけ。男しか愛せないんだ。」
「じゃあ私は?」
「…愛そうと思ってた。」
「ずっとレスだったのは?」
「ごめん、興奮するのも男だけなんだ。」
「じゃあなんで私と結婚したの?」
「同性愛者として生きるのが辛かったんだ。まだまだ偏見の目は多いから。世間体だけでも普通の人になりたかった。」
「じゃあ、三十路過ぎて売れ残っててちょろそうな女を選んで結婚したってこと?」
「…それは…違う。本気で愛そうと頑張った。」
「でも愛してないよね?」
「…うん。」
「…出てって。しばらく会わないで。」
「わかった。」
郁人は必要な荷物をまとめて出ていった。行き先は知りたくなかったから知らない。私は話を聞いて欲しくてリモート飲み会で愚痴を聞いてもらった友達の1人に電話をかけた。
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