そんな、まさか……

1/1
前へ
/2ページ
次へ

そんな、まさか……

「ねぇ……僕の相手してくれない?」 学校一のモテ男が学校一モテない俺にそんな事を言ってきた。 「からかうなよ」 「からかってなんかないよ。本気」 そんな訳あるか。デブで不細工なこの僕だぞ?誰がそんな事信用するか。 きっとなにか裏があるに決まってる。こんな怪しい目をしてるんだ、正気じゃない。 「とりあえず一回だけ、ね?いいでしょ」 食い下がらない相手。こうなったら逆にこいつの恥ずかしいところをどうにか暴いて晒し者にしてやろう。 ーーだが、僕のその野望は呆気なく打ち砕かれたーー 放課後、誘いに乗った僕は彼……笹木由孝(ささきよしたか)の家にいた。 何故かオレンジジュースとスナック菓子を並べられ何故かもてなされている。さっきのあの怪しい目とは裏腹にニコニコと人当たりのいい顔をしている由孝。 「あのさ、もっと君と仲良くなりたいから希良って呼んでいい?」 希良(きら)とは僕の名前だ。希良なんて女の子みたいだし、こんな僕に似合わない名前。名前負けしてる、なんて言われ続けて最近では名乗るのすらあまりしなくなってるのに……。 「い、嫌だよ」 「えーなんで?」 「名前負けしてるし……あんまり好きじゃない、から……」 「可愛いのに〜僕は好きだな」 「は……?」 コイツ本当に頭湧いてる?好きとか訳わかんない……って、あれ……なんか急に眠たく……。 視界が微かにぼやけて頭がふらりとした。由孝が何となく笑ってる気がして、そこで僕の意識は途切れた。 目を覚ますと見覚えのない真っ白な天井。背中にはふかふかの感触。どこかのベッドの上だということはすぐにわかった。 「あれ……僕……」 「あ、やっと起きたね。おはよう希良。なかなか目を覚まさないから薬の量間違えたかと思ったよ」 声のする方に目をやると由孝がニコニコと笑っていた。 「な、に……」 由孝の家に来て、お菓子とジュースを飲んで名前の話をしていたのを思い出した。そして、急に頭がふわふわして……。 「待って、薬……?」 「そう、睡眠薬をね。正攻法で頼んでもダメそうだったから頼っちゃった」 目付きがどんどん鋭くなり、由孝の顔から笑顔が消えた。恐怖すら覚え、体が震えるのを感じた。 由孝が僕の体を撫でるように手を滑らせて、そこで初めて自分が裸だということに気がついた。 「ちょっ、まって……なんで服きてないの……」 「なんでって、脱がせたからに決まってるじゃない。こうして触れたかったんだ……」 お腹の肉をつんつんされてさらに恐怖が増した。 「な、にするの……やだっ、やだ!」 抵抗しようにも意外と由孝は力が強くはねのけられなかった。 「大人しくしててよ。悪いことはしないからさ……」 そう言うと由孝は僕のお腹に顔を埋めた。 「ひっ……」 「はぁ〜柔らかい〜。ぽよぽよ堪らないなぁ〜」 「……へ?」 怖い顔をしていたとは思えないほどの甘えたような声で由孝は言った。それを聞いて僕は唖然としてしまう。さっきまでのあれはなに?どういうこと……?僕は頭が追いつかなくて一人でアワアワしてしまう。 「ずっと希良のこのお腹に顔を埋めたかったんだよ〜。柔らかい……最高……もっと触っていい?」 「……なんでこんなこと……恥ずかしいところ写真に撮って脅してパシリにしたり、虐めたりするんじゃ……」 「そんなことするはずないでしょ〜。僕はね……希良の事が好きで好きで堪らないんだよ……とくにここ、このお腹のお肉……可愛い……」 うっとりした顔をしながらお腹のお肉を揉みしだく。 「や、やめ……」 くすぐったさを感じ、体をよじる。なんとか向きを変えてうつ伏せになったは良いものの、今度は臀を揉まれ始めた。 「希良ってばおしりもやわらかいんだね……あぁ、手のひらに吸い付く……っ」 流石にヤバいと思ってなんとか抜け出そうと足掻いても由孝から逃れられなかった。どんどん行為はエスカレートしていった。 「舐めていい?」 「ダメって……」 「少しだけだから、ね?」 「そんなとこっ、やだぁ……」 拒否をしても由孝の動きは止まらなかった。臀のてっぺんをペロリと舌が這った。 「ひうっ」 ねっとりと舐めあげられ声が裏がえる。 「希良……すごくスベスベでいいね……美味しいからもっと舐めるね」 「やぁっ……うっ……」 これはこれで屈辱だ。女の子ともこんな接近したことないのに……ましてや男に臀を舐められるなど信じられなかった。臀のいちばん高いところからどんどん内側に舌が動いていき、両手で臀を割開かれたかと思ったら、ありえない所を舐められた。 「ヒグッ……ちょっ、ほんとに、待って……そんなとこっきたな、い……」 ソコは排泄をするための穴。そんな所を由孝は躊躇うことなく何度も舐める。それはまるで穴の周りのシワを一つ一つ確認するかのように……舌先をとがらせ丹念に舐めていた。 「んふっ、ビクビクしてる……可愛い……」 はぁはぁと息を荒らげながらまた臀にしゃぶりつく。 「はぁっ……くっ……」 そんな所を舐められて気持ち悪いはずなのに、どうしてか股間に熱が集まっていってしまう。僕はそれを隠したくて高く持ち上げられた臀を必死に下げようとする。でもそれは由孝によって阻止されてしまう。 「勃ってる……ここも可愛いんだ……」 同年代の中でも多分小ぶりな僕のソレは足のあいまでプルプルと震えていた。 「やだ……みないでっ……」 さっきまでの恐怖と嫌悪感はどこへやら。今は由孝によって与えられる刺激が全て快感へと変わりつつある。頭がぼんやりするのは薬のせいなのか……抵抗したくても快感がまさり力が抜けそうになる。必死で耐えようとしても次から次へと由孝が触れてきて思考回路が追いつかない。 「希良……お願い。全部みたい……」 欲望を宿しているのが声だけでわかる。僕は僕でこの煮え切らない状態が辛くて一刻も早く解放されたかった。 由孝の言う通り、仰向けになった希良。股間の所は手で隠したが、すぐに引き剥がされてしまう。 「プルプル震えてかわいいね……希良のおちんちん」 フーっと息を吹きかけられて思わず体が震えた。 「やぁっ……んっ」 「食べちゃいたいくらい可愛い……」 「やだ……やだぁっ……」 さっきまでの様子だとここも舐められてしまうのでは……と希良は思った。とたん、希良の鬼頭部の先端から透明な液体が溢れた。先走りがキラキラと光って見え、希良は思わず両手で顔を覆った。 ……恥ずかしい。こんな所自分でもまじまじと見ることは少ないし、ましてや自慰すらもあまりしない希良にとってこれは羞恥プレイでしか無かった。 「期待してるところ悪いけど……先に僕のこと気持ちよくして欲しいな〜」 「え……」 それが何を表しているのか希良には分からなかったがなんとなく自分が慰み物にされる、ということだけは理解した。 「僕……なにも出来ない……」 「大丈夫だよ。希良はそのままじっとしてて……」 カチャカチャとベルトを外す音が妙に生々しく響いた。下着ごとズボンを引き下ろすと由孝の昂りが勢いよく飛び出すのが指の隙間から見えた。 「ふふ、希良の可愛い姿みたらもうこんなになっちゃった……」 自分の手で数回扱いてみせる由孝。その数回だけで由孝のソレはグンと大きさをましたように見えた。 「すごい……」 自分のとは比べ物にならないソレ。思わず手を外してまじまじと見てしまった。 「希良の事想ってるからこんなになるんだよ……」 「いや……全然分からないけど……」 「今は分からなくても……きっとそのうちわかるよ。今はとにかく……いいよね?」 「いやいやいや、何がいいの!?」 わけも分からないままじたばた手足を動かすが、すぐ由孝によって制止された。 「いいから、動かないで……」 由孝は横から希良の下っ腹辺りに熱の篭ったソレを宛てがう。 「ひっ……」 熱く濡れた感触に希良の声はまた裏返った。お腹の肉の間に感じる由孝の熱。そのまま何度かするように動かされる。 「あはぁっ……この肉感たまんない……はぁ、はぁ……僕のが君のお腹に挟まれて……あぁっ、この圧迫感……たまんない……っ」 恍惚の表情を浮かべながら腰を振り続ける。何こいつ……特殊性癖なの?僕のお腹の肉の間にちんこ挟んで擦ってる……ぱいズリならぬ腹肉ずり……?こんなのが気持ちいいとか……頭おかしいんじゃないのっ……。あぁ、でも……硬いので擦られて何か僕も変な気分になってきた……。 「あ、っく……ふっ……」 「ちょっと気持ちよくなってきた?」 「しらな……」 「ふーん、さっきから希良のおちんちんはエッチな汁が止まらないみたいだけど?」 やんわりと陰茎を掴まれそのまま上下に擦られる。手を動かす度にくちゅくちゅと濡れた音が響いて、希良は耳を塞いた。 「はぁっ……きもちい……我慢汁止まんないよ……」 確かに最初に比べて滑りが格段に良い。それは由孝自身から溢れる体液のおかげだろう。摩擦が熱いのか、由孝のソレが熱いのか……希良はもはや何が何だか分からなくなっていた。 「すごい……玉もパンパンになって……溜まってたの?」 「知らないっ……ン……」 「僕はもう出ちゃいそうだよ……夢にまで見た希良の身体だからね……もう擦っただけでやばいっ……」 由孝は腰と手を忙しなく動かし続けた。 「やだ……っ、やめ……もう……」 「んっ、希良もイキそうだね……一緒にイこ……」 「ひゃぁっ……や、やだ……やめてっ……ほんとにも……でちゃっーー」 「んっ」 希良は由孝の手に、由孝は希良の腹に、ほぼ同時に白濁の粘液を吐き出した。 「はぁっ、はぁ……はぁ」 「やばい……予想以上に良かった……」 「……ヤダって言ったのに」 希良は驚きと快感とで涙を流して訴えた。 「ごめんね?でも僕……本当に希良が好きだから……触れたくて。触れたら止まらなかった……」 「ばか……」 本当に、何故僕なんだろう。由孝という男はモテる。男子からも女子からも人気があって、優しくて……告白だって毎日のようにされてるのを見る程なのに。噂では誰とも付き合わない、学校外に年上の恋人がいる、実は先生と禁断の関係……様々な噂が飛び交っていたが今の由孝を見ると噂はどれも当てはまらなさそうだった。 デブで不細工な自分に欲情するなど変わった性癖だとは思ったが、好かれていると知って悪い気はしなかった。 「またよろしくね。今度は中にも入れさせて?」 「誰がよろしくするか!」 由孝の部屋に希良の声が響いた。二度とこんな事するものかと誓った希良だったが、この数日後由孝の猛烈なアタックにより付き合うことになった。 学校一のモテ男とブサメン。ありえないと学校中の噂になったが由孝はまったく気にすることなく、寧ろ自慢して回っていた。恥ずかしいからやめろと希良は言ったが聞く耳を持たない。 「え、希良の良さは僕だけが知ってればいいでしょ。こーんなに可愛いんだからモテたら困るもん」 「いやいやいやいや……お前ズレてるから」 「そ?でもいいの。僕が希良を好きな事に変わりないからね」 「そーですか……」 別に妬まれるでも弄られるでもなく平穏に過ごせるからと最近では文句を言うのをやめた。 希良がモテるなどと本気で思っている由孝は授業中意外はほとんどベッタリな状態は続いた。モテ男のくせに飾らず、奢らず、嫌味もない由孝を知った希良は徐々に受け入れていった。 そして今ではすっかりあしらい方も覚え、楽しい学園生活を送っていた。 〈終〉
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加