愛のカタチ

2/8
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
「はい、それでは金属製のものをここに置いて、もう一度ゲートを通ってください」  竹郎は財布、ボールペン、時計、金属のバックルのついたベルト、念のためジャケットと靴も置き、再びゲートをくぐった。  ビーっ!  また警告音が鳴った。キャメロン検査官の左眉が上がって、サングラスからハミ出てきた。 「Come here again.」  キャメロンが再び竹郎を手招きした。  呼ばれた竹郎は、カウンターに向かったが、無意識に安心感を与えてくれるチャンの方に行ってしまった。 「こちらではないです。キャメロン検査官の方へ」  チャンは目を伏せ、事務的口調で注意した。 「あ、すいません」  竹郎は慌てて、キャメロンの方へ向かった。  キャメロンは竹郎をキッと睨んだ。 「Don`t mess with me.」  なんと言ったのかわからなかったが、その威圧感に竹郎は「何かマズかったかな」と思いチャンに尋ねた。 「なんて言ったんですか?」  チャンは淡々とした口調で答えた。 「日本語では難しいですが、言い換えれば、『お前、舐めてるのか?』ですかね」 「えーっ舐めてないですよ! チャンさん、誤解を解いてください」 「Anyway, I do a physical examination.」 「え、なに?」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!