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「はい、それでは金属製のものをここに置いて、もう一度ゲートを通ってください」
竹郎は財布、ボールペン、時計、金属のバックルのついたベルト、念のためジャケットと靴も置き、再びゲートをくぐった。
ビーっ!
また警告音が鳴った。キャメロン検査官の左眉が上がって、サングラスからハミ出てきた。
「Come here again.」
キャメロンが再び竹郎を手招きした。
呼ばれた竹郎は、カウンターに向かったが、無意識に安心感を与えてくれるチャンの方に行ってしまった。
「こちらではないです。キャメロン検査官の方へ」
チャンは目を伏せ、事務的口調で注意した。
「あ、すいません」
竹郎は慌てて、キャメロンの方へ向かった。
キャメロンは竹郎をキッと睨んだ。
「Don`t mess with me.」
なんと言ったのかわからなかったが、その威圧感に竹郎は「何かマズかったかな」と思いチャンに尋ねた。
「なんて言ったんですか?」
チャンは淡々とした口調で答えた。
「日本語では難しいですが、言い換えれば、『お前、舐めてるのか?』ですかね」
「えーっ舐めてないですよ! チャンさん、誤解を解いてください」
「Anyway, I do a physical examination.」
「え、なに?」
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