さきもと

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目が冷めたらもう暗くなりそうだった。 あの後数点話を聞かれ警察を出たときは朝日が上りはじめていた。 寝すぎたな。と思いながら家に置きっぱなしの携帯の電源をつける。 おやすみモードに設定された私の携帯には非通知の不在着信がスクロールしなければならないほど溜まっていた。 そんなことよりご飯食べなきゃと携帯をおいたときまた非通知からの電話がなった。 相手が神成秋人ということはわかっていたため迷わずにでた。 「もしもし」 「もっしもーし。彩海ちゃんひどいやないかー警察に俺が小山内のストーカーみたいな言い方して!」 「あれ、違った?」 「ちゃうわあほ。とりあえず、今日事務所...はやめとこか。興三ビルの4階な。何時?」 「最近の探偵ってクライエントに日時指定すらさせてくれなくなったの?」 「人のこと警察に売り込むようなクライエントがいてたまるか。」 ちらりと時計を見れば現在17時過ぎ。 パソコンを起動し、メールカウンセラーの仕事を確認する。来ているメールは3通のみ。 仕事は家で、必要があればクライエントと電話をすることもあるため19時から0時まではなるべく家にいるようにしている。 「1時かな」 「おっけーほなまたあとで。」 ぷつりと切れた電話を置きとりあえずシャワーを浴びようと歩き出す。 たかが引き戸で区切られただけの1DKの部屋の部屋のドアなど閉めるわけもなく、閉ざされているのは部屋と玄関、お風呂、トイレを仕切る扉だけでキッチンを通り過ぎその扉に手をかけたときに異変に気づいた。 食器が洗われているのだ。 私が朝方面倒で冷凍ご飯をチンしてお茶漬けを作った際に使った食器が。 昔からお酒が好きで外でも家でも飲んでいて、その後小腹がすいたと何かを食べても絶対に私は洗わない。私は、だ。 「気持ち悪い」 そのまま玄関への扉を開けると、私の携帯とメモ用紙が置いてある。 『洗い物は早くしないと雑菌生えるよ。』 小山内の字で書かれたそれを読み、すぐに玄関の方へと行き鍵が掛かっていることを確認する。 閉まっているのを確認して、ドアスコープを確認する。 そのまま、部屋の中の扉という扉を開けて小山内がいない事を確認しソファに項垂れた。 「気持ち悪い」
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