空っぽ吐息

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空っぽ吐息

「おはよう」 「おう。もう11時だがな」 「…」 奄美大島の泥染、赤みがかった茶色い天然素材のゆったりとしたワンピースを着た女が、俺しかいないギャラリーを覗いた。伝統的な大島紬の工房で染められたそれが良く似合っている女の足元は履き込まれた革ビーサン。 相変わらず緩い格好に見えるが良いものを身につけているよな。 「で?」 「珈琲」 「…が何?」 「飲みたい」 「飲めよ」 「…淹れてよ」 「俺、これ撤去作業中。見てわかるだろ?」 「休憩させてあげるってことよ」 「…」 「シュウさん、珈琲淹れて下さい」 俺は手にしていたレンチを床に置くと 「今起きたのか?」 軍手を外しながら聞く。 「ううん、1時間ほど前…電話で起こされた」 「ふーん」
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