チョコチップクッキー

18/45
前へ
/270ページ
次へ
友季が舞をソファーから抱き起こし、舞は恥ずかしそうに俯いた。 (はしたないって、思われたかな……) 自分が酷く滑稽(こっけい)に思えてしまい、まだ涙を流し続ける舞の頬を、指先で優しく拭った友季は、 「でも、好きな女の子にそんなことを言われて喜ばない男はいないから」 相変わらずの優しい笑顔を舞に向ける。 「だから、舞のその気持ちはすげー嬉しいよ。ありがとうな」 そして、壊れ物に触れるかのように舞を優しく抱き締めた。 「トモくん……」 「うん?」 体を離して舞の瞳を覗き込む友季の表情は、どこまでも優しくて穏やかで。 それが、どうしようもなく舞の胸を締め付ける。 「好き……大好き」 吐き出すと、とても楽になると同時に胸が温かさで満たされる気がする。 それでも、全然伝え足りない。 「トモくんが、大好き」 「舞……!」 友季が、舞の頬にそっと手を添える。 やはりそれが友季の癖なのだと確信した舞は、静かに目を閉じる。 すぐに重なり合う唇と、舞の口内に滑り込んできた柔らかい熱に、 「……んぅっ……」 舞は苦しそうな吐息を漏らした。 一度しっかりと抑え込んだはずの友季の欲求は再び熱を帯び、 「……っ」 ダメだと分かっているのに、舞を貪るのを止められない。 (まずい……このままだと……) 焦った友季は、咄嗟(とっさ)に自分の太ももを渾身の力を込めて思い切り(つね)った。 「っ!」 その痛みでなんとか我に返り、慌てて舞を離す。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

718人が本棚に入れています
本棚に追加