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男子生徒2人に押さえられ、そこをクラスのボス的存在の男子生徒にひたすら殴る蹴るを繰り返され。
こういう、喧嘩をよく知っているヤツはどこまで殴っていいのかの境界線をよく知っている。
友季が気を失わない程度に、でも動けなくなるまで殴ったところで、暴力をふるうことに飽きた男子生徒がレシピのメモを持ったままトイレに向かった。
友季が痛む体に鞭を打って追いかけた時には――
大便用の便器の中に捨てられ、水に流された後だった。
そこまでを鮮明に思い出した友季は、
「……うっ……」
突然立ち上がると、慌ててトイレへ向かい、
「うっ、げほっ……ごほっ……」
嘔吐してしまった。
今まであまり思い出さないようにしていた反動なのか。
俗に言うトラウマなのだと、今になってやっと自覚した。
レシピを思い出せないのは、きっとこのトラウマが原因だ。
「……」
舞のために思い出したいが、思い出すのがとてつもなく怖い。
トイレの床に跪いたまま動けずにいると、
「トモくん!? 大丈夫!?」
風呂から上がった舞が、慌てて友季に駆け寄ってきた。
「どうしたの!? 立てる!?」
パニックになりながらも友季に手を差し伸べる舞を、
「俺、今汚いから近寄らない方が……」
友季が慌てて拒絶した。
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