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舞にまで“クサイ”とか“汚い”なんて思われたら、もうそれこそ生きていけない。
そう思ったのだが、
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!」
舞は友季の制止を振り切って、その背中を優しく摩る。
(――そうだ。舞は、そういう子なんだ)
心根の優しい舞が、今のような状態の友季を放っておくわけがない。
「トモくん、食中毒の心当たりとかある? ノロの可能性とか……」
流石は専門学校で食中毒の勉強をきちんとしていた舞は、こういう時の対処法を心得ている。
「大丈夫。精神的なものだから……」
「じゃあ、とりあえず一緒にバスルーム行こっか。汚れた服着替えないと」
動ける? と心配そうに訊ねる舞は、自分が汚れるのも厭わずに友季の体を支える。
「舞……」
驚く友季に、
「トモくんが一番大切だから」
舞はなんてことのないように言い放った。
舞に連れられてバスルームに入り、
「先に体洗ってて。その間に着替え取ってくるから」
本日二度目の入浴をすることに。
とは言っても、汚れたところを洗うだけなのですぐに終わるが。
舞の用意してくれた部屋着を着て、舞も友季と入れ替わりで入浴し直す。
汚れた部屋着は、勿体ないが念の為に処分することにした。
二重にしたビニール袋でゴミの処理をしながら、友季はひたすら舞のことを考える。
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