チョコチップクッキー

24/45
前へ
/270ページ
次へ
舞の体を離した友季は、 「だからさ、舞」 真剣な眼差しで舞の目を覗き込む。 「もし、あのクッキーを再現出来たら……」 何を言われるのだろうと、舞はごくりと唾を飲み込んだ。 「……俺との結婚を、真剣に考えて欲しい」 ――結婚。 それは、舞が今まで一度も眼中に入れず、意識すらしたことのなかったもの。 「勿論、今すぐの話じゃなくて……でも、ゆくゆくは俺のことをそういう相手として見て欲しいなって……」 慌ててそう付け加えた友季の声は尻つぼみに弱くなり、ごにょごにょと静かに消えていった。 言ってしまった後で、自分は一体何を言っているのだろうと恥ずかしくなった。 一方の舞は、 (……トモくんと、結婚……?) 友季と付き合い始める前にも、舞は直人から結婚の話をされていたが、その時は自分のことのようには全く思えなくて。 でも、今は友季とは離れたくないと思っている。 それが、ゆくゆくはそういうカタチになったらと考えると―― 「え……あ……」 想像して、ボンッと爆発したかのように舞の顔が真っ赤に染まった。
/270ページ

最初のコメントを投稿しよう!

717人が本棚に入れています
本棚に追加