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舞の体を離した友季は、
「だからさ、舞」
真剣な眼差しで舞の目を覗き込む。
「もし、あのクッキーを再現出来たら……」
何を言われるのだろうと、舞はごくりと唾を飲み込んだ。
「……俺との結婚を、真剣に考えて欲しい」
――結婚。
それは、舞が今まで一度も眼中に入れず、意識すらしたことのなかったもの。
「勿論、今すぐの話じゃなくて……でも、ゆくゆくは俺のことをそういう相手として見て欲しいなって……」
慌ててそう付け加えた友季の声は尻つぼみに弱くなり、ごにょごにょと静かに消えていった。
言ってしまった後で、自分は一体何を言っているのだろうと恥ずかしくなった。
一方の舞は、
(……トモくんと、結婚……?)
友季と付き合い始める前にも、舞は直人から結婚の話をされていたが、その時は自分のことのようには全く思えなくて。
でも、今は友季とは離れたくないと思っている。
それが、ゆくゆくはそういうカタチになったらと考えると――
「え……あ……」
想像して、ボンッと爆発したかのように舞の顔が真っ赤に染まった。
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