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怖がりな舞のために、友季はまだ何もしないと約束してくれたけれど。
ストレートに気持ちを伝えられ、これだけの熱に浮かされて、本当に何も起こらないなんて到底思えなくて。
「あ、あの……私にはもう、トモくんだけだよ?」
友季となら、どんなことでも乗り越えられるような気さえしていた。
それを伝えたかっただけなのに、
「……」
友季は舞の項に顔を埋めたまま、動かなくなった。
彼の熱い吐息だけが、規則的に舞の項に優しくかかる。
「トモくん……?」
友季の規則的な呼吸の中に、
「……すー……」
吐息というより寝息の要素が多く含まれているような気がした。
「……もしかして寝てるの!?」
先程までの空気を甘いと思っていたのは、舞だけだったのか。
1人で緊張して浮かれていたのだと自覚した舞は、
「ちょっと、トモくん! 人の項で寝ないで! 重い!」
上半身を小刻みに揺らして友季を起こす作戦に出た。
「んぁ……?」
寝惚けた声を出した友季を、
「眠いんならベッドで寝てよ!」
舞は恥ずかしさを誤魔化すように怒鳴る。
「ん〜、舞も一緒に……」
まだ寝惚けているのか、甘えた口調でへらっと笑う友季に、
「……!」
舞は不覚にもキュンとしてしまった。
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