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舞の胸に所有印を付けた時のことを思い出した友季は、ふと思ったままを口にしてしまい、
「……」
舞に物凄い形相で睨まれた。
「……あの時、やっぱり見たんだ?」
「……見なくても、抱き締めた時とかキスした時でも分かるけど」
友季は舞からふいっと顔を背ける。
「……でも見たんだよね?」
「逆に聞くけど……あれを見ずにするのは不可能だろ?」
最早、完全に開き直っている。
「目閉じてするとか」
「……無理。俺だって好きな子のは見たい」
「……」
無言のまま友季を睨み続ける舞の視線を背中で痛い程感じ取った友季は、
「俺好みの大きさだった」
フォローのつもりでそんなことを口走った。
相変わらず顔を背けて計量を進める手を止めない友季の背中を、
「スケベ!」
顔を真っ赤に染めた舞が、平手で思い切り叩いた。
ばちんっ、といい音が響いて、
「いってー!」
友季が痛そうに悶絶した。
手にしていたチョコチップの袋が大きく傾き、計りたかった量よりも遥かに多い分量がボウルの中に収まった。
「お前っ、計量してる時に叩くなよ!」
友季は舞を振り返って睨みつけ、
「夢の詰まったお菓子作ってる時にやらしいこと考えないでよ!」
舞も負けじと睨み返す。
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