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舞のワガママのために、友季が自分の休みを削ってまで大変な思いをしようとしている。
そう思うと、何だか泣けてきそうになる。
「あの、シェフ。私も……」
舞がおずおずと声をかけると、
「折角の休みなんだから、鈴原はゆっくりしときな」
友季がまたふわりと優しい笑みを浮かべる。
その笑顔が更に舞の胸を締め付けることになるとも知らずに。
「どうやってチョコが出来上がっていくのか見てみたいんです!」
興味本位と勉強熱心アピールをした舞。
けれど、それは100%の本心ではなく。
大きな力にはなれなくても、せめて友季の傍で少しでも何か手伝いたいと思ったから。
友季は一瞬だけ目を大きく見開いてから、
「そうか。じゃあ……他にチョコ作りに興味ある人いる?」
本当に大変な作業なので、こき使ってやろうという下心で厨房メンバーに挙手を求めた。
が、旦那との予定が……(by上田)だの、朝から海釣りに……(by木村)だのと、皆何かしらの理由をつけて断った。
結局、次の定休日は友季と舞の2人だけでチョコを作ることに。
そして迎えた当日。
「病みそう……」
「匂いに酔いそう……」
友季と舞は、朝の6時から店の厨房にやってきて作業を開始し、夕方を過ぎてもまだやっていた。
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