イチゴショート

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「はい、よろしくお願いします」 舞はペコッと頭を下げながら、 (あのオーナー、私は無理だ……) 心の声が漏れ出ないように細心の注意を払いつつ思った。 (3年……ここで3年我慢して腕を磨いたら、絶対に辞めてやろう) この店のお菓子が好きな事実だけはどうしても変えられないので、せめて技術だけでも盗みたい。 とにかく、今やるべきは仕事を少しでも早く覚えて、自分が使い物になることをあのオーナーに知らしめてやること。 辞められたら困ると思われる人材にまで成長したところで、こちらからあっさりと捨ててやるのだ。 退職願を提出した時に“頼むから辞めないでくれ”とあのオーナーに絶対に言わせてやりたい。 そう心に決めた舞は、その黒い考えを腹の奥底に隠しながら、 「鈴原 舞です。よろしくお願いします!」 他のメンバーにも、笑顔で挨拶をしていった。 (見てろよ、あの自信過剰のクソオーナー!) 雇い主との初対面は、舞にとっては波乱の幕開けとなったようだ。
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