求婚は唐突に

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 続くオズワルド様の言葉に、驚きで彼を凝視してしまった。まじまじと見てしまいました。  すると、あまり表情を動かさないことで有名だったその美貌が、とても嬉しそうな笑顔を浮かべ私を見つめてきます。 「私は本気ですよ。たとえ、あの時に冗談だと思っていたとしても、ヴィアがそう言った事実は変わりません。なので、私も本気だとわかってもらうために、最速で動きました」  ……外堀埋めてきたということですね。  そしていつの間にか、『ヴィア』と家族にしか使われてない愛称呼びが定着しています。  さすが、宰相の息子です。  頭の回転が早く、言質もとられた上であればもう両親には何を言っても通じません。  それに、身分の低いこちらから断ることはできません。むしろ、優良物件すぎる相手からの申し出に今頃大喜びでしょう。  私の両親はもう当てにできないということです。ならば、残る対処方はひとつだけ。  これがオズワルド様の暴走ならば、彼のご実家が私相手なんて許すはずもありません。 「何度も申しておりますが、私の家は利点になるものを何も持っておりません。オズワルド様のご両親がお許しになるわけが……」 「私の両親は大賛成ですから安心してください。それに私は家督を継ぐわけではありませんので問題ありませんよ」  決死の願いも食い気味で否定されました。これはもう逃げ場はないようです。
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