好き好き

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真っ暗な部屋に電気を点ける。 誰も居ないシンとした空間は子どもの頃からなので慣れてはいるが、気持ちが少し沈んでしまう。 「わー!尚哉の匂いがする!」 暗い気持ちと疲れを吹き飛ばす大きな声。 「親の匂いもしてるだろ!変な言い方すんな!」 「うん、混ざってるけど、尚哉の匂いはすぐ分かるよ」 ニッコリと得意気に言う。 もういいやと諦めの境地になりながらも気持ちが浮上するのを感じる。 制服を脱いで着替えようとするが視線を感じる。 別に男同士だから見られても良いんだけど一方的と言うのが気に入らない。 いつもはリビングで脱いで洗濯物を入れてから自分の部屋に行って着替えるのだが、自分の部屋に行ってドアを閉め、鍵まで掛けてやった。 「ちょっ!尚哉ー!俺も入れてー!!尚哉の体見たい」 「変な事言うな!お前はそこで大人しく待ってろ」 ったく、何なんだアイツは……。 上を脱いでズボンに手を掛けた時、バターン!と凄い音がしてドアが開け放たれた。 「尚哉ー!俺、尚哉と離れたくない〜!」 「おまっ!体当たりでドア開けやがったな!?」 怒る間もなく体当たりの勢いで俺に抱きつきベッドの上に薙ぎ倒された。 「尚哉ー!好きだよ〜!!どうやったら俺の気持ち伝わる?今の姿にいつまでいられるか分からないから少しも離れたく無いんだ」 グリグリと頭を擦り付けられ訴えられる。 確かにこの体当たりで全身擦り付けてのスキンシップはコテツだなと思った。 「大丈夫だよ。こんなに好き好き言われたら伝わったよ。俺もコテツが好きだよ」 頭を撫でてやりながら言う。 「本当?!尚哉と俺、同じ気持ちなんだね!嬉しい!!」 頬を赤らめて言う姿に可愛いなと思っていると、コテツが俺の唇に自分のそれを重ねてきた。 「?!?!」 驚いて一瞬硬直したが力を込めて引き剥がす。 ……が、俺の倍の力で更に深く唇を奪われる。 「んんっ!」 息が出来ないと口を僅かに開けるとそこに舌が滑り込んで来た。 「んんっ!ふっ……んっ……」 湿った音と甘い吐息が漏れる。 それを聞いて顔が熱くなる。何て声を出してるんだ俺は……!
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