夜叉

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俺にちょっとでもケチをつけようと、『この子は顔だけはいいけど、頭は悪いんですよ』なんて、再婚相手に言ってもしょーもないことを言ったりした。 それから飯島は、俺に釘付けだった。 母ではなく、俺と再婚したいと思っていたに違いない。 男の俺と。 一緒に住むようになると、相手の態度もあからさまになった。 やたらとスキンシップを求めた。 瞳はいつも俺を追いかけた。 母親にはなんの興味も持たなくなった。 まただ。 と俺は思った。 母親がなんども旦那と別れるのは、いつも俺が原因。 旦那の方が、母親より俺がよくなっちまうんだから仕方ない。 ある日、飯島は俺がシャワーを浴びていると、後から入ってきた。 『男同士だし、一緒に入ってもいいだろう、春樹君』 十八の連れ子と、母の再婚相手の父親が、一緒に風呂に入るなんてあるか? 俺は幼子ではないんだぞ。 唾を吐きたいのをぐっと我慢して、俺は素知らぬ顔で頭を洗っていた。 と、飯島が近づいてきた。肩に触れる。 生臭い息が首元を掠めた。 『身体を洗ってあげよう』 というから、いい加減に体を預けた。 その時の飯島の滑稽さと言ったら。
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