夜叉

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面倒くさいが、食わせてもらってる身だし仕方ないか、と飯島の招きに応じた。 飯島は、母親と自分の寝室に俺を招いた。 おいおい、まさか夫婦の寝室でやる気か? 流石に俺も抵抗はあったが、面白い、とも思った。 気づいた母が、どんな反応をするのか気になった。 また堪えるのか。 今度こそ怒るのか。 それともまた別れるのか。 俺は、別れる方に心の中でひとり、賭けた。 行為が盛り上がってくると、飯島はとまらない。 母が帰ってくる時間になっても、一向にやめようとしない。 俺も飯島も、母を無視して行為に浸るのに慣れていた。 どうせいつも覗かれているんだ。今更バレたってなんてことない。 そうしたら飯島と別れて、別の男と再婚するだけだ。 簡単に、そう思っていた。 と、がちゃり、玄関のカギを開ける音がした。 それでも飯島はやめない。 ぎい、と床が軋む音がして、いよいよ扉が開かれる。 そこで、女は蒼白になった。 夫婦の寝室で、裸で絡み合う夫と息子。 みるみる、女の顔から表情という表情が浮かんでは消え、浮かんでは消え、最後は無になった。
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